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8月最後の一日一論点 [一日一論点]



  復習 一日一論点(カテゴリー別・リンク)



 おはようございます!

 明日から9月になりますね。

 早く寒くなって欲しいものです。

 では、今日の一日一論点です。


(一日一論点)民法

 無権代理人が、本人を他の相続人と共同で相続した
場合において、無権代理人以外の共同相続人の全員が
無権代理行為を追認しているときは、無権代理人が追
認を拒絶することは信義則上許されない(最判平
5.1.21)。

 無権代理と相続の重要判例ですね。

 詳細は、テキストや六法で確認してください。

 以下、民法の過去問です。

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(過去問)

Q1
 Aが、父親Bから代理権を授与されていないのに、
Bの代理人として、第三者との間で、B所有の甲建物
を売る契約を締結した。本件売買契約の締結後にBが
追認も追認拒絶もしないまま死亡し、AがBを単独で
相続した場合には、本件売買契約の効果は、当然にA
に帰属する(令2-5-ア)。

Q2
 Aの子Bは、代理権がないのにAの代理人であると
称して、自らが経営する会社の債務の担保としてCの
ためにA所有の建物に抵当権を設定する契約を締結し
た。AがBの無権代理行為の追認を拒絶した後死亡し、
BがAを相続した場合には、無権代理行為は有効にな
る(平21-23-エ)。

Q3
 Aが、父親Bから代理権を授与されていないのに、
Bの代理人として、第三者との間で、B所有の甲建物
を売る契約を締結した。本件売買契約の締結後にAが
死亡し、BがAを単独で相続した場合であっても、B
は、民法第117条第1項による無権代理人の責任を負
わない(令2-5-エ)。

Q4
 Aが、父親Bから代理権を授与されていないのに、
Bの代理人として、第三者との間で、B所有の甲建物
を売る契約を締結した。本件売買契約の締結後にAが
死亡し、Bが他の相続人Cと共にAを相続し、その後、
CがBを単独で相続した場合には、Cは、本件売買契
約の追認を拒絶することができる(令2-5-オ)。

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A1 正しい

 そのとおり、正しいです。

 無権代理人が本人を単独相続したときは、無権代理
行為は当然に有効となります(最判昭40.6.18)。


A2 誤り

 本人Aが生前に追認拒絶したことにより、無権代理
行為は確定的に無効となります(最判平10.7.17)。

 その後の相続により有効となることはありません。

 前問とセットで理解しておきましょう。


A3 誤り

 Bは、117条の責任を承継します。

 Q1と相違して、無権代理人が死亡して、本人が単
独で相続しても、無権代理行為は当然に有効とはなり
ません。

 ですが、117条の責任を負うことになります。

 無権代理人が勝手にやったことだから、ということ
で、本人には何の咎もなしというわけにはいかないと
いうことですね。


A4 誤り

 追認拒絶できません。

 本問のケースは、無権代理人が本人を相続した事案
と同視できるので、無権代理行為は当然に有効となり
ます(最判昭63.3.1)。

   ・・・・・・・・・・・・・・・・・

 今回は、無権代理と相続に関する問題でした。

 無権代理の中でも、かなり重要なテーマですね。

 ここは、もっぱら判例です。

 いくつかのパターンがありましたが、すべてのケー
スの判例が出題されています。

 問題文の事案から、どの判例のケースかを正確に当
てはめできるようにしておきましょう。

 そういえば、先日から会社法の講義が始まりました。

 WEBなどでは、今日あたりから?配信となるのでは
ないでしょうか。

 もう少ししたら、本ブログでも会社法の過去問もピッ
クアップしていきます。

 また、会社法が始まれば、民法の復習も手薄になり
がちになろうかと思います。

 ですので、今回のように、民法も適度に挟んでいき
ますので、復習のきっかけにしてください。

 では、今日も一日頑張りましょう!

 また更新します。

 1人でも多くの方が合格できますように。

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