SSブログ

週末の一日一論点 [一日一論点]



  復習 一日一論点(カテゴリー別・リンク)


 おはようございます!

 8月に入って、最初の週末ですね。

 早速、今日の一日一論点です。


(一日一論点)民法

 譲渡担保権が実行されて目的物が第三者に譲渡され
た場合、譲渡担保権の設定者は、第三者から引渡請求
があっても、清算金の支払を受けるまでは目的物を留
置することができる(最判平9.4.11)。

 譲渡担保権の判例でもあり、留置権に関する判例で
もあります。

 ここ最近ずっと不動産登記法だったので、今日は、
少し久しぶりに民法の過去問です。

   ・・・・・・・・・・・・・・・・

(過去問)

Q1
 土地が二重譲渡され、第二の買主へ所有権移転登記
がされた場合、第一の買主は、第二の買主からの土地
明渡請求に対して、自己への所有権移転が履行不能と
なったことを理由として得た損害賠償債権をもって当
該土地につき留置権を主張することができる
(平10-11-イ)。

Q2
 A所有の甲土地をBがCに売却して引き渡した後、
甲土地の所有権を移転すべきBの債務が履行不能となっ
た場合、Cは、履行不能による損害賠償請求権に基づ
く甲土地についての留置権を主張して、AのCに対す
る甲土地の引渡請求を拒むことができる(平27-12-
ウ)。

Q3
 建物の買主が売買代金を支払わないまま当該建物を
第三者に譲渡した場合、売主は、当該転得者からの建
物引渡請求に対して、未払代金請求権をもって当該建
物につき留置権を主張することができる(平10-11-
ウ)。

Q4
 建物所有目的の土地の賃借人が賃貸人に対して建物
買取請求権を行使した場合において、賃借人は、建物
の買取代金の支払を受けるまでは、建物について留置
権を主張して建物の敷地を占有することができ、敷地
の賃料相当額の支払義務も負わない(平25-11-オ)。

   ・・・・・・・・・・・・・・・・


A1 誤り

 本問は二重譲渡事例であり、このケースでは留置権
は成立しません(最判昭43.11.21)。

 第一の買主からの明渡請求に対し、売主への損害賠
償請求権を主張するのは、お門違いだからですね。

 物と債権との牽連性(つながり)がありません。


A2 誤り

 本問は他人物売買事例であり、このケースでは、留
置権は成立しません(最判昭51.6.17)。

 Cは、Aからの引渡請求に対し、Bに対する損害賠
償請求権を主張するのは、お門違いです。

 前問と同じく牽連性がありません。


A3 正しい

 そのとおり、正しいです(最判昭47.11.16)。

 本問は転売事例ですが、このケースでは留置権が成
立します。

 最初の売買の買主が代金を支払わない時点で、留置
権が成立しています。

 留置権は物権ですから、その後の第三者にも主張す
ることができます。


A4 誤り

 最後の記述が誤りです。

 建物を留置することの反射的効果として、敷地の引
渡しも拒絶することができます。

 しかし、その間の敷地の利用につき、賃料相当額の
支払義務を負います(大判昭18.2.18)。

   ・・・・・・・・・・・・・・・・

 今回は、留置権の問題でした。

 留置権は、民法の物権編の中でも出題頻度の高いテ
ーマです。

 その出題内容は、大きく分けて条文ベースの問題と
判例ベースの問題です。

 留置権の効力に関しては、条文をベースとした出題
が多いです。

 一方、留置権の成立、特に、物と債権との牽連性に
関しては、判例からの出題が多いです。

 つまり、留置権は、条文も丁寧に読む必要がありま
すし、判例の学習も重要ということですね。

 留置権に限らずですが、抵当権などのその他の担保
物権も、条文が大事です。

 特に、根抵当権は顕著ですよね。

 担保物権の学習の際には、条文もきちんと確認する
ようにしてください。

 では、今日も一日頑張りましょう!

 また更新します。

 1人でも多くの方が合格できますように。

この広告は前回の更新から一定期間経過したブログに表示されています。更新すると自動で解除されます。