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債権譲渡と相殺、重要判例 そして受講生さんへ [司法書士試験・民法]



  2017目標 民法(カテゴリー別・リンク)



 まだまだ夜は寒いですね。今日もコートを着ないで出てきたのですが、帰りは少し寒かったです。


 さて、3月24日(木)は、民法第25回目の講義でした。みなさん、お疲れさまでした!


 最初の頃に基本編でやったことを振り返りながらの講義だったので、ちょっと思ったよりも時間を使ってしまいました。


 なるべく延長はしないというのが私のポリシーなので、ちょっと軌道修正をしないといけないなと感じています。


 もっとも、合格に必要な知識をすべてお伝えしていくのが最優先なので、今後もそこはお付き合いいただけると嬉しいです。


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 今回の講義の中で特に重要なテーマは、債権譲渡と相殺です。


 債権譲渡では、二重譲渡の場合の優劣がよく問題となります。


 ここは、一方のみに確定日付がある場合、双方に確定日付がある場合など、パターンごとにその優劣をよく整理しましょう。


 相殺は、まず、自働債権、受働債権をしっかり区別することが大事です。


 その上で、自働債権、受働債権で相殺ができない場合などがいくつかありました。抗弁権がある場合だとか、そういったものですね。


 これらは理解するのにちょっと時間がかかるところなので、制限がある趣旨や理由をよく考えながらじっくり復習しましょう。


 あとは、差押えと相殺の論点も、問題の所在から、それぞれの学説の内容をよく整理しておきましょう。


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(過去問)

Q1 
 譲渡禁止特約が付されている指名債権の譲受人が、当該指名債権に譲渡禁止特約が付されていることを知って譲り受けた場合であっても、譲渡後に債務者が当該譲渡を承諾したときは、当該譲渡は、承諾時から有効となる(平19-18-イ)。


Q2
 債務が弁済により消滅した後に譲渡された場合、債務者が異議をとどめないで承諾をしたときでも、当該債権を被保全債権とする債務者所有の不動産上の抵当権は復活しない(平14-17-ウ)。



Q3 
 受働債権の弁済期が到来していない場合であっても、自働債権の弁済期が到来していれば、相殺をすることができる(平24-16-1)。


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A1 誤り

 承諾の時ではなく、譲渡の時に遡って有効となります(最判昭52.3.17)。


 債権譲渡は覚えるべき重要判例が多いですから、六法でしっかり確認しておきましょう。


A2 誤り

 異義なき承諾と担保権の復活は、第三者の利益を害することはできないということを念頭に置くといいでしょう。


 抵当権の場合は、設定者に注目です。債務者所有の不動産の場合は、抵当権復活です。


 異議をとどめない承諾については、下記の判例にも一応注意です。


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(判例)

 債務者が異議をとどめないで指名債権譲渡の承諾をした場合において、譲渡人に対抗できた事由の存在を譲受人が知らなかったとしても、このことについて譲受人に過失があるときには、債務者は、当該事由をもって譲受人に対抗することができる(最判平27.6.1)。


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A3 正しい

 自働債権の弁済期とは、相手方の弁済期であり、相手方の期限の利益を一方的に奪うわけにはいけません。


 そこで、相殺をするためには、自働債権の弁済期が到来していることを要します。


 一方、自らの期限の利益は放棄できますから、受働債権については、弁済期が到来していなくてもよいとされています。


 この理屈は、しっかり理解しておきましょう。


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 最後に、受講生さんへの告知です。


 今日の講義でお配りしたレジュメには、債権譲渡と民法94条2項の第三者に関する判例を、図とともに紹介しています。


 時間の関係で説明できませんでしたので、各自、しっかり確認しておいてください。


 折を見て、解説できればと思っています。


 今回は少し長い記事となりましたが、最後までみていただいて、本当にありがとうございます。


 では、また更新します。


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