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年末年始・商登法 役員変更その2 実践編(ちょっと長いです) [司法書士試験・商登法]



  2016目標・商登法(カテゴリー別・リンク)



 遅い時間の更新になりました。


 すっかり日付も変わりまして、この28日(月)で事務所のほうも仕事納めとなります。

  
 法務局始め、官公署がこの日で仕事納めですからね。


 そして、2016年をより充実した1年にできるように、まずはこの2015年を労いたいと思ってます。


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 さて、前回の役員変更の続きですが、次の過去問をもとに、役員変更の申請書を書いてみましょう。

(過去問 商登法平25-32-イ)

 取締役を辞任したことにより代表取締役を退任したAの後任として新たに代表取締役に選定されたBの代表取締役の就任による変更の登記の申請書には、当該申請書に添付された取締役会議事録にAが登記所に提出している印鑑と同一の印鑑をBが押印しているときは、当該議事録に押印した取締役および監査役の印鑑につき市区町村長の作成した証明書を添付することを要しない。


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 ちょっと長い問題文ですが、頑張って、まずは正誤を判断してください。


 そして、もう少し事例を細かく設定します。


 取締役A、C、D、代表取締役Aの取締役会設置会社において、Aが取締役を辞任したこととしましょう。


 この辞任届には、Aが届出印で押印しています。


 そして、同日、そのAの後任として、Bが取締役に選任され、かつ、代表取締役に選定されたものとします。


 上記の問題文及びこれらの事実に基づいて、役員変更の登記の申請書を書いてみましょう。


 なお、Bは、席上就任承諾の旨を述べたのではなく、別途、就任承諾書を提出しているものとします。


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 まず、問の正誤はよろしいでしょうか。


 答は、誤りです。


 規則61条4項の議事録に係る印鑑証明書の添付を省略するためには、前代表者のAが出席して、Aが届出印で押印する必要があります。


 そうであるところ、Aは、取締役を辞任していますから、監査役に選任でもされない限り、取締役会に出席することはできません。


 また、新代表者のBが押印しても、議事録に係る印鑑証明書の添付を省略することはできませんので、結果、印鑑証明書の添付を要します。


 では、申請書は、以下のとおりです。書けましたか?


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(申請書)

 登記の事由   取締役及び代表取締役の変更

 登記すべき事項 平成◯年◯月◯日取締役A辞任
         同日代表取締役A退任
         同日次の者就任
           取締役 B
          ◯市◯町◯丁目◯番◯号
           代表取締役 B

 登録免許税   金3万円(または1万円)

 添付書類    辞任届        1通
         株主総会議事録    1通
         取締役会議事録    1通
         就任承諾書      2通
         印鑑証明書      4通
         委任状        1通

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 就任承諾書は、取締役としてのものと、代表取締役としてのもので合計2通です。


 印鑑証明書については、まず、Bは、新任であるため、規則61条3項の代表取締役の就任承諾書に係る印鑑証明書が必要となりますので、1通。


 次に、規則61条4項の議事録に係る印鑑証明書ですが、先のとおり添付省略できないため、出席取締役BCDと監査役のものを要します。


 このうち、Bについては、規則61条3項の印鑑証明書と兼ねることができますから、監査役1名として合計4通です。


 以上、役員変更の図を書いた上で、きちんと特定してみましょう。


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 また、Bについては、新任であることから本人確認証明書の添付の要否も問題となりますが、今回は、その添付を要しません。


 これは、前回の記事でも確認したとおり、規則61条3項、4項の印鑑証明書を添付するからです(規則61条5項ただし書)。


 さらに、Aについては、登記所に印鑑を提出した代表取締役であることから(問題文参照)、辞任届に係る印鑑証明書の添付の要否が問題となります。


 これも改正点で、商登規則61条6項です。


 登記所に印鑑を提出した代表取締役等が辞任したときは、辞任を証する書面に係る市区町村長作成の印鑑証明書の添付を要するのが原則です。


 ですが、辞任を証する書面に登記所届出印を押印したときは、印鑑証明書の添付を要しません。


 今回は、届出印を押したとの前提ですから、規則61条6項の印鑑証明書の添付は不要です。


 仮に、届出印で押印していないときは、印鑑証明書を5通としましょう。


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 以上わかるとおり、改正後の商登規則61条5項、6項により、検討すべき点が増えてしまいましたよね。


 この点は、まず、原則がどうなっているかをよく確認の上、添付を要しない場合を正確に押さえましょう。


 大切なことは、まずは原則をしっかりと確認することです。


 規則61条5項、6項をよく丁寧に確認して、テキストやレジュメをよく読み込んでおきましょう。


 また長くなりましたが、以上です。


 


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