民法第31回講義 法定地上権と引渡し猶予 [司法書士試験・民法]
☆ 法定地上権の成立要件
1 抵当権設定時、土地の上に建物が存在すること
2 抵当権設定時、土地と建物の所有者が同一であること
3 土地と建物の一方または双方に抵当権を設定したこと
4 抵当権の実行により( )
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民法30回講義その1 抵当権の侵害(振り返り・リンク)
民法30回講義その2 物上代位(振り返り・リンク)
今日は、20か月コースの民法第31回目の講義でした。
今日も明日も明後日も、というくらいに抵当権が続いています。
そんな中での今日の講義、メインテーマは何といっても法定地上権です。
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ここは、☆に掲げた成立要件をとにかく覚えてください。
ちなみに、( )の部分は、正直、要件としては当たり前といわれるところではありますが、どうして当たり前なのでしょうか?
( 土地と建物の所有者が異なるに至ったこと )、これが要件として当たり前だなということがわかったとき。
それが、法定地上権を理解できたといえるときなんじゃないかな、なんて個人的には思ってます。
ざっくりいうと、その場面でこそ、土地の利用権が必要だからですよね。
要件をきちんと確認したら、豊富にある過去問をしっかり繰り返しておいてください。
問題を解きながら、「テキストのあそこに載っていたな」などと確認しつつ、曖昧なところだけを潰していきましょう。
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法定地上権以外で大事なところは、抵当権消滅請求と抵当建物の引渡しの猶予、賃貸借の先順位抵当権に優先する同意の登記ですね。
どこがポイントだったか、それぞれ条文とともにしっかり確認しておいてください。
特に、今年目標の方は、抜かりのないように準備しておいてください。
では、締めくくりの過去問です。
今回は私にとっての思い出の1問です。
抵当権者に対抗することができない賃貸借により抵当権の目的である建物の使用又は収益をする者(以下、抵当建物使用者といいます)の引渡しの猶予の制度に関する過去問です。
ちょっと長いですけど、よろしく教授。
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過去問チェック
教授: 抵当建物使用者は、抵当権の実行としての競売における買受人から建物の引渡しを求められたときは、これを拒むことはできないのが原則ですが、民法395条はその例外として、一定の場合に引渡しの猶予を認める制度を設けていますね。抵当建物使用者は、この制度によって建物の引渡しを猶予される間は、建物の使用の対価を支払う必要はないのですか。
学生: この制度が適用される場合には、建物の賃貸人の地位が買受人に承継されることになりますから、抵当建物使用者は、従前の賃貸借契約に基づく賃料の支払義務を買受人に対して負うことになります(平19-16-エ改)。
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答 誤り
抵当建物使用者が支払うべき建物の使用の対価は、賃料ではありません。
その対価の性質は、不当利得です。
また、抵当権の実行により賃借権は消滅していますから、買受人が賃貸人の地位を承継することもありません。
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平成19年の本試験、私が受講していた講師の「ここから聞くなら絶対にこれ」という言葉が頭に響いてきて、それが合格に導いてくれました。
そんな思い出の1問でした。
いざというときに頭に響く講義をしたい、それが私の永遠の目標です(^^)
次回の講義に当たっては、弁済による代位を振り返っておくといいことあると思いますよ。
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