即時取得と知識の定着 [司法書士試験・民法]
☆ 即時取得の要件
① 動産であること
② 有効な取引行為によって占有を取得すること
③ 前の占有者に処分権限がないこと
④ 取得者が占有を取得すること
⑤ 平穏、公然、善意、無過失に占有を取得すること
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第27回講義の振り返り(前回の記事・リンク)
改めて、前回の民法の講義の復習です。
以前の記事では占有権の条文を確認しましたが、ここでは即時取得です。
即時取得は、まず☆の要件をしっかり頭に入れておくことが大事です。
そして、①~⑤それぞれでどういうことが問題となったかをよく思い出しておきましょう。
特に、④では占有改定が問題となりました。
占有改定によって占有を取得しても、目的動産を即時取得することはできません(最判昭35.2.11)。
即時取得については過去問も多いですし、完璧にしておきましょう。
↓↓↓(過去問)
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過去問チェック
Aの所有する甲動産を保管しているBが、甲動産を自己の所有物であると偽ってCに売却した場合において、代金支払時にCが甲動産の所有者がBであると信じ、かつ、そう信じるにつき過失がないときは、代金支払後、引渡しを受けるまでの間に、所有者がBでないことをCが知ったとしても、Cは、甲動産を即時取得することができる(平17-9-イ)。
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答 誤り
何故、誤りかいいでしょうか。
まず、これは☆の即時取得の成立要件のどの話であるかをよくわかるようにします。
⑤の話です。
占有取得時(引渡しを受けたとき)に善意無過失でなければいけないので、誤りです。
そもそも、①~⑤の要件をスパッといえない人は、まずスパッといえるようになることが大事です。
このときも、①、②と覚えたら③にいくのではなく、①、②をもう一度確認してから③を覚えます。
その後も同じ。
すぐ④にいくのではなく、①、②、③をもう一度確認してから④を覚える。
この繰り返しです。
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これは、問題を解いたときも同じです。
スパッと解けたものは、以前も話したように繰り返し復習しなくても大丈夫です。
逆に、さっきの過去問をスパッと解けなかった(迷った)、間違えた、曖昧だったときはもちろん復習が必要です。
じゃあ、それを次に復習するのはいつでしょう?
曖昧だったものは、一度の復習ではなかなか知識として定着しません。
復習の間隔が長くなっちゃうと、次に確認するときには、また忘れているってことも多いです。
なかなか頭に残らないなら、その日の夜、たとえば寝る前にもう一度間違えた、曖昧だった問題だけを確認する。
次の日、もう一度その問題を確認してから、その日の問題を解く。
さっきの、①、②→①、②、③→①、②、③、④の要領です。
それくらい徹底的に繰り返すことが必要かと思います。
そうして定着させておくと、他の科目で手一杯で復習の期間が空いても、また思い出しやすくなるはずです。
なかなか頭に残らないな、というときは、ちょっとやり方を見直してみるといいですね。
◯、☓と、ただ漫然と解いているだけになっていませんか?
経験上、ほぼ過去問そのままで問われると答えられるけど違った視点で聞かれるとまったく対応できない、なんてときは、たいてい◯☓だけを見て解いていることが多いように思います。
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もちろんですが、答を覚えるんじゃないですよ。
何で◯なのか☓なのかという理由の部分を、しっかりと覚えることが大事です。
さっきの問題でいうと、「占有取得時に善意無過失であることが必要」という部分です。
逆にいえば、その時点で善意無過失であれば、その後に悪意となっても影響ないということです(即時取得できる)。
ここが、この問題のポイント、急所です。
ここがわかっていれば、さっきの過去問みたいに聞かれても、また違った形で聞かれても答えられるじゃないですか。
どこが肝なのか、急所なのかを掴んでおくことが大事ですね。
それがすなわちキーワードとして知識が定着していきますし、また忘れても思い出しやすくなると思いますよ。
なかなか頭に残らないときは、徹底的に繰り返すことが大事です。
最後にもう一度。
漫然とただ解いているだけになっていませんか?
長くなりましたが以上です。
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