不動産登記法第24回・本日の1問 [司法書士試験・不登法]
本日の不動産登記法の講義は、仮処分と区分建物でした。
出席していただいた受講生さん、お疲れさまでした。
さて、仮処分の登記は、判決による登記と同様、民訴系をやってから戻ると、もう少し理解が深まります。
焦らないで、覚えていきましょう。まずは、処分禁止仮処分は何のためにするものか、ということから理解するといいでしょう。
そこは、後ほど、過去問で確認してみてください。
次に、仮処分の執行のパターンを正確に覚えるのがポイント。
1 仮処分の登記のみを使う場合(仮処分単発型)
・実現したい登記が、所有権の移転登記、抹消登記のケース
・実現したい登記が、抵当権や地上権など所有権以外の権利の移転登記、抹消登記のケース
2 仮処分+保全仮登記を使う場合(保全仮登記併用型)
実現したい登記が、抵当権や地上権など所有権以外の権利の設定登記等のケース
以上、試験に必要な範囲のカタチで表現しました。
単発型か併用型かは、実現したい登記の内容で判断しましょう。
経験上、抵当権=併用型と思い込んでしまいやすい気がします。
抵当権でも、移転登記を保全しておくためであれば、単発型です。
併用型は、所有者にその処分をさせないようにするほか、順位を確保しておく必要もあるときに、仮登記を併用するのです。
所有権を処分しなくても、裁判でアレコレ争っている間に、ほかの人に抵当権を設定して、登記をしてしまうこともありますからね。
裁判やっている間に、順位が10番になっちゃってるよ・・・では困るというわけです。
この点を最低限、理解しておくといいでしょう。
過去の振り返り
(本日の1問)
① AからBへの所有権の移転の登記手続を命ずる判決が確定したが、その訴訟の口頭弁論終結後に、AがCに当該不動産を売却し、AからCへの所有権の移転の登記がされている場合には、Bは。Cに対する承継執行文の付与を受けて判決によるCからBへの所有権の移転の登記を申請することができる(平19-15-オ)。
② A所有の不動産について仮処分債権者Bのために処分禁止仮処分の登記がされ、次いで、AからCへの所有権の移転の登記がされた後、AおよびBが、AからBへの所有権移転の登記を申請する場合には、Bは、その申請と同時に単独でAからCへの所有権の移転の登記の抹消を申請することができる(昭57-23-5改)。
③ 所有権の移転の登記請求権を保全するための処分禁止の仮処分の執行としての処分禁止の登記がされた不動産について、当該仮処分の債権者を登記権利者とし、当該仮処分の債務者を登記義務者とする所有権の移転の登記がされるとともに、当該仮処分に後れる登記が抹消される場合には、当該処分禁止の登記は、登記官の職権により、抹消される(平25-19-イ、平11-24-オ)。
この流れで問題を解くと、なんで仮処分の登記をするのかがわかると思います。
というか、わかってください(笑)
(解説)
① × テーマ・判決による登記
CからBへの所有権の移転の登記を申請することはできない。
二重譲渡の事案だから、Bより先に登記を受けたCが優先する。
Bにとっては、時間とカネをかけて裁判をやった苦労が水の泡になる瞬間である。
こうならないために、裁判をやるにあたり処分禁止の仮処分を受けておくのです。
こんなケースあるんかいと思う人もいるかもしれませんが、実際にあるんですよ。
以前勤めていた事務所の事件で、裁判中に、被告が、その所有不動産を贈与してしまったケースに出くわしました。
保全手続って必要なんだな、と思った瞬間でした。
さて、処分禁止の仮処分を受けておくと、こんないいことが起こります。
↓
② ○ 不動産登記法111条1項
そのとおり。Bは、AからCへの所有権移転登記の抹消を申請できる。
ぜひ、登記の申請書も書いてみましょう。
仮処分を受けておかないと、①のようにBは負けますが、仮処分を受けておくと、ジャマ者のCの登記を消せます。
これが仮処分の登記です。
③ ○ 不動産登記法111条3項
そのとおり。本問の場合、登記官は、処分禁止仮処分の登記を職権で抹消する。
これは、仮処分の後片付けの問題。
完了後の登記記録例で確認すると、わかりやすいと思います。
次回で、不登法の講義は終了です。
今回は仮処分の登記に終始したので、次回は、区分建物について書く予定です。
今夜は、久しぶりにウォーキングをしてきました。
気持ちいいですね。
オススメですよ。
出席していただいた受講生さん、お疲れさまでした。
さて、仮処分の登記は、判決による登記と同様、民訴系をやってから戻ると、もう少し理解が深まります。
焦らないで、覚えていきましょう。まずは、処分禁止仮処分は何のためにするものか、ということから理解するといいでしょう。
そこは、後ほど、過去問で確認してみてください。
次に、仮処分の執行のパターンを正確に覚えるのがポイント。
1 仮処分の登記のみを使う場合(仮処分単発型)
・実現したい登記が、所有権の移転登記、抹消登記のケース
・実現したい登記が、抵当権や地上権など所有権以外の権利の移転登記、抹消登記のケース
2 仮処分+保全仮登記を使う場合(保全仮登記併用型)
実現したい登記が、抵当権や地上権など所有権以外の権利の設定登記等のケース
以上、試験に必要な範囲のカタチで表現しました。
単発型か併用型かは、実現したい登記の内容で判断しましょう。
経験上、抵当権=併用型と思い込んでしまいやすい気がします。
抵当権でも、移転登記を保全しておくためであれば、単発型です。
併用型は、所有者にその処分をさせないようにするほか、順位を確保しておく必要もあるときに、仮登記を併用するのです。
所有権を処分しなくても、裁判でアレコレ争っている間に、ほかの人に抵当権を設定して、登記をしてしまうこともありますからね。
裁判やっている間に、順位が10番になっちゃってるよ・・・では困るというわけです。
この点を最低限、理解しておくといいでしょう。
過去の振り返り
(本日の1問)
① AからBへの所有権の移転の登記手続を命ずる判決が確定したが、その訴訟の口頭弁論終結後に、AがCに当該不動産を売却し、AからCへの所有権の移転の登記がされている場合には、Bは。Cに対する承継執行文の付与を受けて判決によるCからBへの所有権の移転の登記を申請することができる(平19-15-オ)。
② A所有の不動産について仮処分債権者Bのために処分禁止仮処分の登記がされ、次いで、AからCへの所有権の移転の登記がされた後、AおよびBが、AからBへの所有権移転の登記を申請する場合には、Bは、その申請と同時に単独でAからCへの所有権の移転の登記の抹消を申請することができる(昭57-23-5改)。
③ 所有権の移転の登記請求権を保全するための処分禁止の仮処分の執行としての処分禁止の登記がされた不動産について、当該仮処分の債権者を登記権利者とし、当該仮処分の債務者を登記義務者とする所有権の移転の登記がされるとともに、当該仮処分に後れる登記が抹消される場合には、当該処分禁止の登記は、登記官の職権により、抹消される(平25-19-イ、平11-24-オ)。
この流れで問題を解くと、なんで仮処分の登記をするのかがわかると思います。
というか、わかってください(笑)
(解説)
① × テーマ・判決による登記
CからBへの所有権の移転の登記を申請することはできない。
二重譲渡の事案だから、Bより先に登記を受けたCが優先する。
Bにとっては、時間とカネをかけて裁判をやった苦労が水の泡になる瞬間である。
こうならないために、裁判をやるにあたり処分禁止の仮処分を受けておくのです。
こんなケースあるんかいと思う人もいるかもしれませんが、実際にあるんですよ。
以前勤めていた事務所の事件で、裁判中に、被告が、その所有不動産を贈与してしまったケースに出くわしました。
保全手続って必要なんだな、と思った瞬間でした。
さて、処分禁止の仮処分を受けておくと、こんないいことが起こります。
↓
② ○ 不動産登記法111条1項
そのとおり。Bは、AからCへの所有権移転登記の抹消を申請できる。
ぜひ、登記の申請書も書いてみましょう。
仮処分を受けておかないと、①のようにBは負けますが、仮処分を受けておくと、ジャマ者のCの登記を消せます。
これが仮処分の登記です。
③ ○ 不動産登記法111条3項
そのとおり。本問の場合、登記官は、処分禁止仮処分の登記を職権で抹消する。
これは、仮処分の後片付けの問題。
完了後の登記記録例で確認すると、わかりやすいと思います。
次回で、不登法の講義は終了です。
今回は仮処分の登記に終始したので、次回は、区分建物について書く予定です。
今夜は、久しぶりにウォーキングをしてきました。
気持ちいいですね。
オススメですよ。
2014-09-07 22:45